遺留分の放棄と撤回


Q:20年前に渡米して以来、一度も日本に帰らず、母の面倒はずっと妹に任せきりでした。母から、これからも自分の面倒は妹に見てもらうので、遺言ですべての遺産を妹に渡す、遺留分も放棄してほしいと言われました。どのような手続きが必要になるでしょうか。またいったん遺留分放棄の手続をした後に、放棄を取り消すことはできますか?

A:遺留分とは、被相続人の相続財産について、その一定割合を一定の法定相続人に保障する制度です。いわば、被相続人の生前贈与や遺言による贈与(遺贈)によっても侵害することが出来ない、相続人の権利ということになります。被相続人の子は遺留分権利者であり、その遺留分割合は、法定相続分の2分の1とされています(民法1028条)。したがって、母の相続人が子二人である場合の、子それぞれの遺留分は4分の1(2分の1×2分の1)となります。

 遺留分は、相続開始前であれば放棄することができます(これに対して、相続放棄は相続開始前に行うことができません)。手続きとしては、日本の家庭裁判所で遺留分放棄の許可審判を得る必要があります(民法1043条1項)。

 また、家庭裁判所の許可により遺留分の放棄が確定した後でも、その後、背景事情が変化し、遺留分放棄を維持することが客観的に見て不合理となった場合、家庭裁判所は、遺留分権利者の申立により、職権で審判を取り消すことができるとされています。

 ご質問のケースでは、妹は母を一人で介護し、今後も面倒を見るという状況を前提として家庭裁判所は遺留分放棄を許可しています。こうした背景事情が変化し、たとえば、妹さんが介護を放棄し母を困窮させ、その結果、あなたが母を介護するに至った等、遺留分の放棄状態を維持することが客観的に見て不合理な場合にあたる場合には、家庭裁判所に申し立てて、遺留分放棄の許可を取り消すことができます。

 当協会では遺留分について取り扱っておりますので、お気軽にご相談下さい。

Copyright(c) The Inheritance Association for Japanese Abroad(IAJA) All Rights Reserved.